『とっ、突然、貴方みたいにっ…悪戯に私の生活をかき乱したりする人が現れるとっ……もう、心の中、ぐちゃぐちゃになって…いっぱいいっぱいになっちゃうんですっ…』



目に涙をいっぱい溜めて、溢して、櫻田花音は堰を切った様に、心の内を話し出す。



『貴方みたいにっ…な、なんでもソツなくこなせるようなっ、完璧な人は…私の気持ちなんか、わかんないっ…なのにっ、、、いっつもそうやって…人の事小ばかにして…余裕そうにしちゃって…自分のこと皆が好きになるって思ってるみたいですっ…けどっ…』



ひっくひっくと嗚咽を漏らしながら、櫻田花音は必死に言葉を紡いでいく。




『貴方なんかっ…』




直前で何故か櫻田花音は俺から目を逸らし―






『貴方なんか、私は絶対に好きにならないっ!!』






そう叫んだ。





それでいいよ、と思う。


予定通りだ。



俺は最低な人間なんだから。


誰からも愛してもえらなくて、当然なんだから。



本当の俺は、何の価値もない人間なんだから。


俺は誰も愛せないんだし。




だけど。


自分の中にチクリと痛みが走る。



それがどこなのか、わからないけど。