不機嫌なアルバトロス


「…ねぇ、お願い。私をもっと頼って。」


やがて、懇願するように、志織が口を開く。



「…その話は、もう、やめてくれって…」



「だって!私にはそれだけの資力があるんだから!」



次第に志織の熱が上がる。



「でも、これは、俺たち家族の問題だから…」




「私もその家族に入れてくれればいいじゃないっ!」



「え…」



志織は自分の発した言葉に、頬を紅潮させた。




「あ、そ、いや、あの…私、何を言ってるのかしら…そういう意味じゃなくて…」



いいね。


女っていうのは、そんなんでいい。


ヒスと共に、感情と共に、欲望が出てくる。


それでいい。



「そういう意味って、、どういう意味?」



俺がそれを存分に利用してあげる。




「…私、貴方と将来のことを、、考えたいの…」



赤く染まったままの頬に片手をあてて、困ったように呟いた志織。


志織は外見は申し分ない。


中身もちょっとおっとりしているお嬢様気質。


世間の男ならば大体が、今の仕草も『かわいい』と思うのだろう。




「恥ずかしいわ…、こんなこと、、女の私から、言うつもりじゃなかったのに…」



残念ながら、俺は何も感じないけど。




「…そんなことない。言わなかった俺が悪いんだ。だけど、俺、乃々香の親代わりだから、、」




一哉の気持ちには、そのエキスを入れてあげるから。




「わかってる!だから、今は妹さんのことを優先させて欲しい…それで、、私も力になりたい。。だって、一哉の大切なヒトなんだから。」



だから、かわいいそのままで、俺に尽くしてね?



「……わかった…。じゃぁ、、、格好悪いけど…志織に頼らせてもらう…」




渋々といった感じで頷く俺に、志織の表情が明るくなったのがわかる。



「喜んで!」



合格。