「おま…なんでそんなに冷めてんだよ」



崇は結構熱い、いや暑苦しいタイプだから、こういう俺によく驚く。



「いや、だって、仕方ないだろ?人は死ぬものじゃん」



「そ、そうだけど…、大丈夫なのかよ?」



気遣うように、俺を見る崇に少し笑える。




「何がだよ?」



「何が…って」



崇の視線が宙を彷徨う。



「…俺、急ぐから。またな」



「あ、おいっ」



崇の横を通りぬけ、背中を向けて歩き出す俺を、崇は声だけで引き止めようとする。



数メートル先まで行った所で、俺は振り返って、切ない顔でその場に突っ立ってこっちを見ている崇に笑顔で言った。




「大丈夫だよ。俺は誰かが死ぬことに、慣れてんだ」