崇とは、いわゆる腐れ縁ていう奴で。


施設を出る頃、クラブに通い始めた時に知り合った男だった。


軽くてフザけた奴だけどそれなりに良い奴だ。


女癖は素晴らしく悪い。


ま、俺も人の事言えた義理じゃねーけど。




「で?そっちの仕事も順調なわけ?」



へらへらした笑いはどうにかならないものかといつも思うけど、忠告は敢えてしない。




「まーね。ボチボチ」




「燈真(とうま)が心配してたぜ。いつか刺されんじゃないかって。」




燈真も同じつるみ仲間だが、俺等より少し年上で、世渡り上手の優男だ。


色々な法律も知っていて、中々どうして役に立つ。




「大丈夫だって、んなヘマしねーよ。」



冷えた笑いで、返した。




「…本気で好きになったりとか、しねぇの?」



崇が小馬鹿にするように訊ねる。



「ないない、あるわけない」



手で振り払うように否定すると、崇がくくっと声を立てて笑う。



「っとに、だったら関わんなきゃいいのに、わざわざリスク背負うこともないんじゃねぇの?」



核心を突く質問に、一瞬返す言葉に詰まった。


崇自身は、計算でもなんでもないんだろうけど。




「…暇潰しの…ゲームだよ」




崇に感づかれる前に、かろうじて言葉を発した。