勿論ジャングルジムのてっぺんにいってもいいか?と聞かれたら嫌なワケで。
俺は何の反応もせずにまた空を見た。
暫く後、カン、カン、と鉄の棒に足を掛ける音が、聞こえる。
内心舌打ちをした。
『結構、高いんだね』
軽く汗ばみながら、男が俺の隣に座って呟く。
俺はちらっと目だけでそれを確認したが、すぐに逸らした。
『…君は…、お母さんに、会いたいかい?』
唐突にも聞こえるその質問にすら、俺は何も感じず、そして何も反応しなかった。
真っ青な空。
白く流れる雲。
それが、段々と赤く色づいても、
男はそこから動かずに、じっと、俺の返事を待っていた。
とうとう、俺は男と目を合わせ、
相変わらず穏やかなその表情にささくれだつ思いを感じながら。
首を横に振った。
『…そうか』
男は小さく頷き、それを受け止める。
それから直ぐに言葉を繋げた。
『…君に、、名前をあげよう』


