黙り込む私に、中堀さんも何も言わない。


暫く沈黙が続く。




やがて、中堀さんの溜め息が静かに耳に届いた。



私はびくっと縮こまる。



怒らせてしまったのかと思った。




《……契約上…》




だけど、中堀さんは声を荒げることなく、静かに、呟くように話し出す。





「?」





一言も聞き漏らすまいと、私は耳を澄ませた。





《違反が見つかったから。…あんたをこれ以上巻き込むわけにはいかないんだ。》





「え、、なんの…」




《また土曜に。おやすみ。》




抑揚のない声と共に、通話は切れた。


真っ暗になった携帯の画面を見ながら、やっぱり寒いなと思った。



あれだけ星が見えているんだから、寒いのは当たり前なのに。


今まで気付かない、なんて。





「馬鹿だな、私」




乾いた笑いが零れて落ちた。




中堀さんと会えるのは、あと1回になってしまった。



契約違反、て何。




そんなの。



どうしたら良いのよ。



携帯を持つ手が、力なく落ちた。





心が重たくなり過ぎて。


呆然となり過ぎて。


言われたことを、受け止めることが出来なくて。



泣くことすら、できなかった。