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「あ、オリオン座。」



電車から降りて一人、家路へと向かう途中、空を見上げて呟いた。


ビルや家々の光のせいで、星は余り見えないけれど、冬は比較的キレイだ。



浮き浮きする心はどうやら勘違いではなさそうで、乙女になりきっている自分に笑える。



鼻唄なんか歌いながら、中堀さんの金色の髪を思い出した。



そういえば。



金曜の夜、中堀さんは黒い髪の毛だったのに、マンションでのお風呂上りは金髪だったな。



洗って落ちるのかな。


あの夜は優しかったな。


もっと…


触れたかったな。



きゅぅと胸が鳴った。


次、いつ会えるかな。


連絡、私からしたら、変かな。


あぁ、でも、逃げちゃったし、なんて言い訳しようかな。


帽子の話はそのまま続行させて、くれるっていったら頂こう。


ん?


あれ、中堀さんとの約束はあと…今日合わせて6日だったっけ。


もしかして。。


もしかしなくても、その一日が今まさに無駄に終わろうとしている?


え、ちょっと勿体無い。


どうせなら、会いたかった。


だけど、私から会いたいって言ったら変だよね。


特に用はないし。。


中堀さんにとって私は役者なだけなわけだし。




道端で一人、悶々と悩む私。