次の日の夜着たメールを見て『やっぱり』って思った。


致し方ないことなのかもしれないとも思った。


宏章は私にバレたと思ったんだろう。





『もう会わない』




そりゃないよね。


会わないって事は。


さよなら、だよ?


せめて、話がしたい、とか。


そういうの、ないのかな。


メールで済ませちゃう位なのかな。


私は、それで終われる程度の女なんだね。


良いように使われて、分別もされないまま棄てられる。


価値のない、女なんだね。


「花音?」



何も言わない私に、宏章が呼びかける。



「俺、花音がいないと―」



「放して。」



私は冷たく言い放つ。




「花音「放してっていってるの」」



微動だにせず、私は重たいエレベーターの扉だけを真っ直ぐに見つめる。




なのに。



「何でわかんねぇんだよ」



「きゃっ」



ぐるり、身体を回転させられたかと思ったら、今度は壁に押し付けられた。




「好きなんだよ」



顔をぐっと近づけ、両肩を掴まれる。




地下についたエレベーター。


開いた扉からは誰も降りない。