「あ、の…一個…いっこだけ、、訊いてもいいですか…?」
熱に浮かされた私は、もう無敵に近いらしい。
今できたばかりの疑問を直ぐに解決しようとする。
だけど一個だけという辺りが謙虚な気もするんだけど、どうだろう?
「…んー?」
それに対し、気のない返事をする中堀さん。
「もし……私を、予定通り騙せていたとしたら…私の言うことも…聞いてくれましたか?」
『何でも私の言うことを聞いてくれる』と言った志織さんの言葉は、まだしっかりと心に引っかかっている。
だけど、それをふまえての質問。さすがにいけなかったかな?
でも、本当は恋人になってから、利用するつもりだったって、中堀さんはそう言ってたよね?
タブーだったか、と気を揉んでいたので、少しの間が長く感じた。
「…たとえば?」
やがて、中堀さんが質問返しをしてきた。
「!!」
当然、私のノミのような心臓は跳ね上がる。
「……い、妹じゃなくって…こっ、恋人としてってことです…」
最後の方は段々声が小さくなっていって、中堀さんに聞こえているんだかいないんだか。
その上―
「聞かない」
「!」
即答された。
し、ショック…
わかっていたけど、でも、ちょっとショック。。。かなりショック。
結局私は眉間に皺を寄せたまま目を瞑った。


