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「そろそろ、寝ろよ」
時刻が2時少し前になる頃、元気になったらしい私(本当は熱でふらふらしているけど食欲増進+ハイテンションになっている)を見て、中堀さんがそう言った。
中堀さん自身も、ちょっと眠そうだ。
そりゃそうか。
ん?
そんな彼を見ながら、ふと気付く。
「あれ、そういえば…クラブの方は良かったんですか?」
金曜日の夜といえば、盛り上がる日だろうし、私が行った曜日もそうだった。
「あー……」
言い淀む中堀さんを前に、私は首を傾げる。
そんな私をちらっと一瞥して、
「休んだ」
短く小さく中堀さんが呟いた。
「え!?」
思わず素っ頓狂な声が出る。
「うるさい。いいからもう寝ろ。」
面倒くさそうに顔をしかめながら、中堀さんは私を寝室へと追いやる。
「でででもでも、わ、悪いこと…」
「別にあんたの為じゃない。俺が勝手に休みたかっただけ、おやすみ」
そう言うと、中堀さんは、振り返って謝ろうとする私の肩を、背後からがしりと掴んでドアを開け、寝室へと放り込んだ。
「ちょ、ちょっとま…」
バタン
私の声も虚しく、ドアが閉められる音が響く。
ま、真っ暗なんですけどー!?
それに、こんなおやすみは、ちょっとやだ。
躊躇(ためら)いつつも、私はたった今閉ざされたドアのノブに手を掛けた。
ガチャ
申し訳ない程度に開けて、隙間から外を覗く。


