不機嫌なアルバトロス

えっとー、ここがトイレで。


それから、、あ。ここか。


洗面所、見っけ。



「なんていうか…」



キレイ好きなんだな、中堀さん。



思わず呟いてしまう。



水周りも完璧ってどういうこと?


最早潔癖なのでは、と思わせる。


潔癖な男はそれはそれで面倒だ。


何故なら私はアバウト人間だからだ。



「…違う違う」




そんなことを考えたかったわけじゃない。


私は気を取り直して、顔を洗った。


申し訳ないけど、勝手にタオルをお借りした。



キャラクターのタオルとか、ないのかな。


戸棚にきっちり詰まっているタオルの中に、ゲテモノはないかと物色してみるが、無駄足に終わる。


大体落ち着いた色の無地ばかりだ。




「なんだ、つまんないの」



「何が?」


一人言(ご)ちると、すぐ後ろから声が落ちてくる。



「………」



ぴたり、止まる私は石像か。


でも、振り返るのが、怖い。


だって、人ん家物色してるんだもん。


泥棒じゃないけど、、、体裁が悪い。



「おい。」



「…………」



「おーい」



「…………」



このまま、朝にならないかな。


現実逃避が頭を過ぎる。