「ぶっ…良いから飲みなよ。またお腹鳴っちゃうよ?」



小ばかにしたように、中堀さんが言うので、私は頬をぷーと膨らませる。



「だって!すごく美味しいんですもん。…身体にも良さそうだし…今度具合悪くなった時に、作りたいし…」



「わかったから。とにかく、今は飲みなさい。」



呆れたように中堀さんは言うと、私の向かいの椅子に座った。



教えてくれそうだったので、私も言われたとおりにスープを飲み始める。



「…材料は、じゃが芋、人参、玉葱、セロリ、ローリエ、鶏がらだよ。」



ものすごい勢いでスープを飲み干す私を、中堀さんは半笑いで見ている。



「材料をじっくり柔らかくなるまで煮たら、ローリエを取り出してブレンダーで粉々にする。それから濾して鶏がらと塩コショウで味を調えたら牛乳を入れて終わり。簡単だよ」


そう言った後で、お代わりあげよっか?と私に訊ねた。



中堀さんが言うと、本当に簡単に聞こえるから不思議だけど。


ちょっと面倒そうだから、多分、いや絶対私は家に持ち帰って作ることはしないだろう。


図々しくも中堀さんに空っぽになった器を手渡しながら。


改めて。


改めて、格好良いなぁ、と思ってしまった。