「それは…どういう意味ですか?」
質問の意図をわかりかねて、率直に訊ねると、彼は自分の前髪に触れた。
「俺の、元の髪の色は、どっちだと思う?」
サラリ、重力に逆らわずに中堀さんの指から落ちたきれいな髪を見て羨ましいと思いながら即答した。
「そりゃ…黒でしょう?」
だって、中堀さんは日本人だもの。
質問の意味が、佐藤一哉として、中掘空生としてっていうのであれば、金髪が本物って答えるけど。
地毛っていう意味ではこれが正解でしょ?
だけど、彼はふっと笑って。
「ハズレ」
そう言った。
「え、、冗談ですよね?」
信じられるわけないでしょう。
これもきっと嘘でしょう。
私はそう思っていて、多分それは顔にも十分に表れていたに違いない。
「ま、信じなくてもいいけど、俺半分は日本人じゃないんだよ。」
まただ。
中堀さんは、少しだけ、寂しげに笑った。
「だけど、その半分が、どこの血かはわからない」
中堀さんに捉まれた手から、力が抜けた。
それって…つまり―


