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「…随分と、独占欲の強い男ね。そして花音は昨夜からかなりの災難ね。」
結局一部始終を話してしまった私。
椅子に腰掛けた憲子が難しい顔をして呟く。
私は毛布にくるまり、憲子の淹れてくれたミルクティーの入った湯気の立つカップを、両手で持っている。
「昨日、のことなんだけど…」
ふいに憲子が言いにくそうに話し出すので、目を真っ赤に腫らしながら私は頷く。
「いや…昨日会場が騒がしくなった辺りで、私、時計を見てやばいなって思ったのよ。それで花音の所に行こうとしたらあんなことになってたでしょ?」
くるくるとリボンを手でもてあそびつつ、憲子が話し始める。
「あちゃー。私の失敗だった、なんて思って。急いで傍に行こうとしたのよ。でもカウンターに着いた時には花音もあのエアー男も居なかった。」
エアー男…。
そんなあだ名になったんだ、と心の中でひそかに笑った。


