「そそそれにっ、私の役だって!妹なんだしっ、恋人居る設定なんだしっ、迷惑別にかけてないじゃないですかっ」



そーだそーだ。


自分で自分に頷く。


ただでさえ、私は中堀さんのことがムカついて仕方ないのだ。


自分勝手で。

私のことなんてこれっぽっちも考えてなくて。

好きでもない人に愛してると囁き、騙してお金を取る。


そんな奴を好きになってしまった私自身にもムカついている。


だけど、そんなことを知らない中堀さんは、私がどこで誰と何をしてようが別に良いわけで。


私のことなんて道端に落ちている石ころと変わらないくらいの存在な筈だ。



「…確かにね」



自分で納得して言ったのに、頷く中堀さんに軽くショックを受ける愚かな私。


ちょ、ちょっと位なんとか言ってくれたって、いいのに。


あー。ほんと私ってアホだな。



「…でも、俺言ったよね?」



そう言いながら、中堀さんは私の額に自分の額をくっつけた。



「!?」



何!?


この密着。


ヒヤリとする中堀さんの額に、ドキッとする。



急展開。


やだやだ、心臓がバクバクする。


おっ、温度が、鼓動が、つ、伝わるっ。


もう、一体何の熱なんだがわかんない。


ぐっちゃぐちゃ。


頭も心も大変な状況になっている。


完全にパニック、本日2度目の到来。