「もしかして、好きでもないのにキスできんの?」



答えない私を見ながら、馬鹿にしたように中堀さんが笑う。


ちょっと冷たい笑み。


こないだ私が言った事をきちんと覚えている上での言葉だということは、痛いくらいわかる。



「俺のこと、言えなくない?」



「っ、違いますっ。中堀さんのとは、全然違うっ」



我慢できずに、私は小さく叫ぶ。


私も悪いっていうのはわかってる。


だけど、決定的に違う。



「へぇ?どんなふうに?」



「あれはっ、無理やりっだもんっ」



泣きたいわけじゃないのに。


悲しいわけじゃないのに。


ぽろり、目から一粒涙が零れた。



「嫌がってる風にも見えなかったけど?」



ぐっと近づいた中堀さんの顔に、胸がもう張り裂けそうだ。


彼の茶色い目が、長い睫毛が、私に注がれてる。


だけど、、どちらかといえば睨まれてる。




なんで?


なんで私今こんなに責められてるの?


ん?責められてるのかな?


あれ、よくわかんない。


でもなんか悪いことしたみたいに言われてる気がする。



そう思うと無償に腹が立ってきた。




「ど、どーだって、いいじゃないですかっ。中堀さんには、カンケーありませんっ」



身体の自由を奪われつつも、私は突っぱねることにする。