私は両手を中堀さんの方に見せて、宥めるような格好をする。
「ストップ!!!」
搾るようにして出てきた言葉がコレだった。
だって。
近くにきちゃったら。
色々問題がある。
できれば傍に来ないで欲しい。
お願いだから。
そこで。
そのままで。
用件を済まして欲しい。
「俺は犯罪者か?」
ケッと冷めた笑いをして中堀さんは玄関に上がった。
いやいやいやいや。
「そ、そこまでっ、で!」
制する私なんてお構いなしに、ずんずんと中堀さんは私に近づく。
それに比例するように私はずりずり後ろへ退く。
「なんで逃げるんだよ」
「そそそっちこそ、どうして近寄るんですかっ」
居間を通過し、突き当たりのベットに私の足がぶつかる。
しまった。
「わわっ」
バランスを崩した私は背中から勢い良くベットに倒れこんだ。
「いった…」
思わず閉じた目を開くと、倒れた私を見下ろす中堀さん。
あー、最低だ。
こんなんなら最初からちゃんと出れば良かった。
かっこわる。
後悔が波の如く押し寄せる。
ぱらり
そんな私の顔に、なにやら軽い感触が…
よく見ると、中堀さんの手から私に向かって何かが垂らされている。
あれ、これは。
見覚えのある―
ワインレッドのリボン。
「……これ…」


