「た、タカ…さん」



驚いて口に出すと、呼ばれたタカはにこにこと笑顔でこちらに歩いてきた。




「さっきから似てんなって見てたんだよ。俺のこと、覚えててくれたんだ?うれしいなー」



「え、何々?誰、この人」



状況を飲み込めない憲子が首を傾げている。



「あっれ、お友達?友達もレベル高いなー!どーも初めまして。斉藤崇(サイトウタカシ)です。タカって呼んでね!」



相変わらず軽い男代表タカは、思いっきり眉間に皺を寄せている憲子なんておかまいないしに、その手をとってぶんぶん振った。



「花音…誰?」



タカを見る事無く、憲子は私を目で射抜いた。



「こないだ…クラブで会ったって話したヒト…です…はぃ…」



「あぁ、お持ち帰りされそうになった男ね」



「!」



ピタリ、突然停止したタカの手を冷たく振り払い、憲子は今しがた取り戻した自分の手を腰に当てて私を見た。



やばい、これは。


お説教のポーズ…