「え、そんな、だって…わ、悪いよ」



私はなんとか憲子を思い留まらせようとするも、


「何言ってんのよ!花音がどんな危険な目に遭うかわかんないじゃない。こないだだって私が花音を一人にしたからこんなことになっちゃったわけで、これでもすごく反省したんだから。」


憲子は鼻息を荒くして、まくし立てる。



「そこ!私語は慎みなさい!就業時間内だぞ。」



最初はこそこそ話していたのだが、段々と興奮していってしまっていたらしく、係長に注意されてしまった。



「…はい、すみません…」



小さくなって謝り、隣の憲子をちらっと見ると、彼女はにやっと笑った。



「決まり、ね。」



到底憲子には敵わない。


私は抵抗するのを諦めた。