不機嫌なアルバトロス

「どんな、ご用件でしょうか…」



一体何を言われるのかと、内心びくびくしている。

だって、もしかして、私が健康すぎる人間だってバレちゃってるのかもしれないし、私が佐藤乃々香ではないことを知っているのかもしれない。



「ここじゃ、寒いから。近くのカフェであったまらない?」



そう言うと、志織さんはにっこりと笑った。


やばい、惚れる。


そう思いながら、前を行く志織さんの後を付いて歩いた。


普通、詐欺師が騙す相手っていうのは、男性経験が少なくて、あんまり容姿がパッとしなくて、初々しい感じの人かと思ってた。


だけど、志織さんは断じて違う。

相手になりたい男なら、沢山居るだろうし、素敵な男性をゲットできることだろう。

男慣れしていないわけでもなく、自分の持っている武器は、計算なのか天然なのか、使いこなしている。


なのに、何故、あの男にひっかかってしまったんだろう。