「乃々香ちゃん、よね?」
艶やかな声で確信を込めて呼ばれた私は振り返らざるを得ない。
ぎぎぎぎっと音がするのではないかと思う位、硬くなった自分の首を無理無理動かした。
「あ、れ?志織さんじゃないですかぁ…どうして、ここに?」
わざとらしい位の笑みを貼り付けて、私は志織さんに訊ねる。
「会社まで押しかけてごめんね。乃々香ちゃんのことを待ってたのよ。」
その言葉にドキっとする。
どうして、私の会社の場所を知っているんだろう。
あ、でも考えてみれば、最初に会った時も会社の近くのお店ではあったんだけど。
だけど、この状況、かなりやばくないか?!
だって二週間経った後、私どうしたらいいの?


