「…なんで?」
「だってそんなことしたら、本来とは違う所で、自分の身を危険に晒すわけでしょう?その男は多分本職の方では警察に狙われているわけじゃなさそうだもの。上手くやってるのよ。それなのに、そんな小さなことで警察に付け狙われるような真似、しないでしょう。」
なるほど。
言われてみればそうだ。
きっと彼はそんなことしない気がする。
なんで今まで気づかなかったんだろう。
「で、でも…」
「まさか」
同意しようとしない私に、憲子が眉間に皺を寄せた。
「…好きになったりしてないでしょうね?」
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