不機嫌なアルバトロス

だが。



「以上でご注文の品は揃いましたでしょうか?…はーい、ではごゆっくりどうぞー」



所詮時間稼ぎになっただけで、恐怖の時間は必ずやってくる。



「花音?答えないとこのごぼうスープ、没収するよ?」



店員が去った後、素敵な笑顔で憲子が言う。



自分の中の天秤が、大分傾いてきている。



だって、もう話して楽になりたい。


この状況。私の立場。


憲子なら、わかってくれるかも。


良い答えをくれるかも。


もしかしたら怒らないで聞いてくれるかも。


意を決して、私は口を開いた。



「実はね―」