不機嫌なアルバトロス

「俺は誰かを好きになったことなんてないし、これからもない」



余りにはっきりと言い切る中堀さんに、二の句が告げなかった。



「だから、間違っても俺のこと好きにならないでね?」



余裕たっぷりに見えるいつもの笑顔。



「だっ、誰が貴方みたいに最低な人好きになるかっ!」



紙袋とバッグを引っ掴んで、車を降りようとドアを開けた。



「そ?なら良かった」



降り際に彼の声がする。



「さよーなら!!!」



そう言うとドアを思い切り強く閉めた。