不機嫌なアルバトロス

「え?」


聞こえないというような身振りをして彼が私を見た。


私は俯いたまま、意を決して言葉を繋げる。



「私…には、どうして、したんですか?」



言った。


言ってやった。


朝のキスが、私の頭から、離れていない。


聞いて、どうするのか。


なんて答えて欲しいのか。


全然わかんないけど、めちゃくちゃになりつつある、自分の心を取り戻したくて。


抑えきれず、言葉が零れてしまった。


私の視界には、自分の握り締めた拳が、膝の上に揃っていることしか見えていない。