不機嫌なアルバトロス

「…あんなに素敵な人なんだから…、本気で、好きになったりとかしないんですか?」



自分の手をこねくり回しながら、ついに核心を突く質問をしてみる。



「ないね。」



即答された。



「で、でも!…」


「…でも?」



言いかけて躊躇う私に、中堀さんが先を促す。



「き―キスとか…そーいうのって…」




「あぁ、さっきの?見てたの?」




逆に聞かれて、心の準備が間に合わない。



「見てませんっ、見てませんけど…いや本当は少し見えちゃいましたけど…」



「けど何?」



私のアパートはもう十数メートル先だ。