心がぎゅっと締め付けられたみたいに痛む。
何に対して?
よくわからないまま、席に着いた。
運ばれてくるコースの食事はどれも美味しそうなのに、珍しいことに食欲が全くわかなかった。
「乃々香ちゃん、、全然食べてないじゃない。大丈夫なの?」
「あ、はい…」
志織さんが心配そうに訊ねてくれるが、自分でも不思議なんだから仕方ない。
「乃々香は元から少食なんだよ。…でも、今日は特にひどいな。ちゃんと食べないと病気も治らないぞ。」
嘘兄貴の嘘っぷりにムカムカが増大した感じがした。
ぐるぐる、ぐるぐると。
なんだか、目が回る。


