「…ひどいカオ」


ぽそっと呟き、手早く化粧を直してトイレを出た。


テーブルに近づく私に、二人は気づかずに話している。


そして、志織さんが佐藤一哉なる隣の彼の耳に、その麗しい唇を寄せてこそっと耳打ちして、クスクスと笑った。


嘘兄貴も、微笑んでいる。


―楽しそう。


なんか、むかむかする。



「…お待たせしました」



私が声を掛けるとはっとした様子で二人が振り向き、



「気にしないで。大丈夫よ。」


「乃々香、何飲みたい?」



それぞれが優しく声を掛けてくれた。