朝食を済ませ、支度をして家を出る。
案外遠く、電車通学。
話しかけられると面倒なので、聞こえない耳にわざとイヤホンをつけ、どんなメロディかもわからない曲を適当にかける。

そうしていると、あっという間に学校に着く。
教室に入ると、

「おはよう、アイ」

そうやって、親友のユカが手話してくれる。
ユカとは、小学校のころからいっしょで、高校２年生になった今もいっしょ。
しかも、同じクラス。
先生が気を使って、クラスを同じにしてくれるんだ。
これは、ありがたい。