果てしなく遠い愛へ




多々羅さんは、この組織において総監視役という立場の存在で、私達の動向や仕事内容を監督している。
総監視役の多々羅さんを筆頭に、監視役はペア毎に付いている。


といっても、ペアも変動するからそれによって監視役も変わる。私達能力者と監視役の関係は任務にも影響する。


能力者には気難しいのと癖の強いのが多いから、たまに両者で火花を散らしていることも少なくない。中には顔を合わせるたびに喧嘩になるとこもある。


「ツインズには、悪いが多々羅との件と並行してもらうよ。」


どうやら天様には既に、多々羅さんの件は承知済みらしい。当たり前か。
天様には何でもお見通しなのだからね。


アズは不満そうだったけど、それは別に多々羅さんと天様の仕事を同時に請け負う事に対してじゃない。彼はきっと、ヒカと組むことが気に入らないんだろう。


最初から、アズとヒカの関係は最悪なものだったから、今更仲良くなるなんていうのは思わないけれど。せめて嫌いなら嫌いなもの同士、無関心でいてほしい。


アズはあからさまに態度に嫌悪を表すけれど、ヒカは逆に行動に出すから困る。
しかも、私を挟んでの行動なのだから余計たちが悪い。


ヒカは結構、アズの怒りの地雷を把握しているから。


「それでそれで?今回の仕事内容は何なわけだ?この四人が選抜されたっつーことは、それなりにそれなりの任務だって事だろ!??やっべぇ、テンション上がってきた!!」


「…………耳障りだ、黙れ。」


絶対零度の極寒の声音により、万奈は瞬時に口を閉じた。彼はアズには逆らえないらしい。


そんな二人を楽げに見て、天様はようやく今回の仕事について口を開いた。