果てしなく遠い愛へ




問題なのが……、


「奇妙な面子が揃っとるなぁ〜。いつ見てもかぁいらしいのぉ、姫さん。」


奇妙なのはこの男のイントネーションと喋り方だと常々思うが、言っても仕方が無い事なので口にはしない。けれどもアズなんかは、彼が喋り出した途端に苛つきをさらに表した。


この男の喋り方はたまに癪に障る。
アズの場合は嫌悪している相手故にさらに気に入らないのだろう。


派手に争う事は、天様の前では無いと思うが如何せん先程のアズの怒りの相手がこの男であるのだから。余計なことはしないでほしい限りだ。


私は無意識にアズに擦り寄りながら、奇妙な喋り方の眼鏡の男を視線で捉える。


「万奈もヒカも、まずは天様にご挨拶でもしたらどうだい?」


私の冷めた視線にも、飛花世は気にした風もなく肩を竦める。


「あぁっ!!天様、もう還ってきてたんだな!全然知らなかったぜ。つーか、零はいねぇのか?アイツが天様から離れてんのなんて珍しくね?」


「元気だねぇ、万奈は。…まあ、気楽に構えてもらった方が良いのだけどね。キミ達四人に今回課せられるお仕事は、ボクとしても成功してもらいたいんだ。」


私達に課せられる任務という名の仕事は、私達の持つ能力により振り分けられる。そして能力者達の力をより引き立てるように工夫されている。


私とアズは殆どペアで動いているけど、たまに他のメンバーとも組む。中には単独を基本とする人達もいるし、今回みたいに二人以上でのチーム編成になることもある。


因みに、ヒカなんかは一度も誰とも組んだことが無い。というか、誰も変人なヒカと組みたがらないのだ。


「……トモと俺には、多々羅 Tauara に別件で頼まれている仕事がある。」


「あぁ、そういえばそうだったね。多々羅さんの件、忘れていたよ。」


思わず呟けば忘れんなよというようにアズに頭を軽く小突かれた。地味に痛いよ。