「行こうか、アズ。あの人は待つのが苦手だからね。」
「………どうせまた任務だろ。トモ、後で寝かせろ。」
「アズに抱き枕にされるの、嫌いじゃないから良いよ。」
ため息を吐いて歩き出したアズの腕に絡み付けば、彼は僅かに表情を緩ませる。
アズはいつだって、言葉と表情が合わない不器用な子だ。
不器用すぎてよく敵を作るし、傲慢で我儘だからいつだって孤独になる。
けれどまぁ、アズは絶対に孤独にはならない。
アズの側にはいつだって、片割れである私がいるべきなのだから……。
『………戻って来い、朋果…。』
『お前には俺しかいねぇんだ…。』
『…朋果、何も考えずこっち来い。』
私の犯した罪は、いくら償っても消えることはない。それでいいし、それがいい。
私を裁くのも赦すのもアズだけ。
アズが望むままに、私は全てを投げ打つ覚悟を胸に秘める。
……もう二度と、同じ過ちを繰り返さないように……。私だけがアズの、アズだけが私のモノだから……。
だから、もう大丈夫。
過ぎ去った日々に未練も想い入れも無い代わりに、あるのは懺悔と罪悪感とそれを上回る憎悪。
私には、その憎悪を糧に生きていることしか自分を保てなかった……。
何度も自分を見失いかけて、そしてそんな私をアズが何度も見つけてくれた。支えて、守ってくれた。
……私の犯した断罪は赦されるものではないけれど、だからこそ永遠に償い続けようと決めた。
永遠に、私はアズから離れない……。
離れたく、ない……。

