私の声に弾かれたように顔を上げた矢吹は、決心したように走り出した。 よっし一気にいけ! どうせなら一位をと、れ……? 「なあじんた」 「なあに月ちゃん」 飛ぶように駆け抜ける矢吹。 正確には、駆けてくる矢吹。 「矢吹、こっち来てるよね?」 「うん。めっちゃこっち来てるね」 あちこちに人が散らばる中、矢吹一人だけこのテントにまっしぐら。 紙をにぎりしめている。