にやっと弧を描く口をみて、思わずあのことを思い出した。 手首から消えない唇の、あの感触。 「矢吹」 あれは、なんだったの。 言いかけて口をつぐんだ。 そう、あれはきっと気まぐれだ。 私の反応を見て遊んでたんだ。 ただの、遊び。 ドクンッ… あれ。 なんだろ、この変な痛みは。