下僕お断り!






―矢吹雪人SIDE―

しばらく視界から消えたとおもったら、月花が奇襲をしかけてきた。


短いスカート、下ろした黒髪、白い肌。


なんだ、結構かわいいじゃん。
単純にそう思ってしまう自分がいた。


何それ、反則でしょ。

しかもナンパとかされて、その上相手が「かわいそすぎる」?

いくら自覚ないって言っても、これじゃあ恐怖すら覚えるね。

どう考えても服だけがかわいいわけじゃないって、自分を卑下する女子でも分かることなのに。

ってか、

「なんであんなこと…」

したんだ、俺。
後ろをしぶしぶついてくる月花に聞こえないよう、そっとつぶやいた。



キス。


いや、俺は今まで何度もしてきた。


それも、あんな触れるようなんじゃなくて、もっと濃いやつだって、回数だって重ねてる。

普通に、遊びのために。



月花だって、あいつを食いつぶすために傍に置いてるはずなのに。