ぼけーっと春の日差しのした、登校していると。
「「「「きゃあああああああああ!!」」」」
沢山の女性の黄色い声が、あちらこちらから響き渡った。
「?!なんだ?!」
「あー、あれだよ。役員サマのご登校かな」
うんざりした顔でじんたが女子の視線の先を指差す。私はそれを背伸びしてみてみた。
その体に熱い視線を受けながらも、どこ吹く風で欠伸しながら道の真ん中を闊歩する、恐ろしく顔の綺麗な男が居た。
ちょっと毛先が跳ねている黒髪に赤いメッシュが入ってて、ブレザーの下にはパーカを着込んでいる。
ピアスもしているし、首にチョーカーもつけていて、確実に校則を破っている身長の高い男だった。
……かっこいい、と言うよりも、美人、が似合う男だなぁ…。
「僕らと同じクラスだったでしょ、去年」
「まじでか。知らなかった」
「え゛!まさかあいつのこと、知らないの?おっくれてるぅ~~」
「うざい」
「ひどっ!」
女子にうっとりとされても、顔色一つ変えないどころか面倒くさそうに顔をしかめるそいつは、……うん。
とってもいけすかない。
嫌なタイプのモテ男だ、きっと女の子を片っ端から泣かせるようなやつ。
