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当日、土曜日。
待ち合わせは駅になった。快晴である。
待ち合わせ時刻は十時だけど、まだ十分くらいはある。
矢吹の居場所はすぐに分かった。
もちろん女子のひとだかりでだ。
きゃあきゃあとうるさい大衆の中、一人突き抜けて身長の高い美形。
とても嫌そうな顔をしてる。
「…んー」
話しかけずらいね。
どうしようかと真昼間の街中で、右往左往してると。
「月花」
矢吹がこっちに気づき、女の人たちをあしらうと、ずんずんこっちに歩いてきた。
女性の視線が私に突き刺さる。
「なに、彼女連れ?」
「ざんねーーん」
「てか女のほう、なんか微妙だね」
「つりあってなくない?」
ひそひそ話の声がでかいでっせお嬢様がた。
全部聞こえてるっての。
「待たせないでよ、めんどくさい」
「…女性に囲まれてうはうはしてたくせに。遅れてすみませんね!」
お前のせいで私は被害をうけてるのにさ!
「…えーっと、今日はヨロシクオネガイシマス」
「またカタコト」
はん、と鼻を鳴らして続ける。
「ていうか、何そのかっこ。女子として終わってるデショ」
私を上から下まで見て、ため息を大きくついた。
「何、って」
ただのジーンズとプリントTシャツだが。
