下僕お断り!



『んで、駅まで行ったと。でも、矢吹君ちって確か学校から近いから、電車の必要はないよねー。分かる?送ったとしか思えんでしょう!』

逆戻りしていた矢吹。
あれは、わざわざ送ってくれてたのか?

…だとしたら、すんげえ優しい奴だ。

「そっか」

『うんうん、ツンデレ~。矢吹君に意地はらずお礼言っときなね?』

「うぎっ……。分かった」

じゃあね、と言ってじんたが電話を切る。

…開いたすっからかんのメルアド帳に刻まれた、『矢吹』の文字。
いきなり電話もあれだし、メールにしとこう。


『from:四ツ谷月花
  to:矢吹
 件名:ありがと
 内容:駅まで送ってくれてたっぽいですね。ありがとうございました』


かなり敬語になってしまった…。
ま、いっか。タメ語で言うのもはばかってしまうし。

「そーっしん」

Pi、と音がなって、封筒の絵が飛び立っていく。
初メール…。



「あっ」

しばらくしてバイブがなり、メールが届いたことが知らされる。
返信早いなぁ。


『from:矢吹雪人
  to:四ツ谷月花
 件名:re,ありがと
 内容:なんで敬語なの。っていうかアンタのことはどうでもよかったし。ちょっと用事があっただけだよ、うぬぼれないで』


……。

メールでもむかつく奴だな…!
すんげええらそうなの、なんでよ?

まあ、でもわざわざ返信くれたし、そこは目をつぶるか。


私は小さく笑って目を閉じると、そのまま眠りに落ちた。