*
『おーう、青春だねーえ』
電話の向こうでじんたが笑った。
「はあ?」
逆戻り矢吹を見送り、電車に乗り家に帰った私。
めしを食い、シャワーを浴びたところでじんたに電話してみた。
もちろん、逆戻り矢吹のこと。
男ならその気持ちが分かるかなーって。
で、聞き終わったじんたの第一声がそれ。
正直なに言ってんだコイツって思った。
『ふむ。いいかい、月ちゃん。これは僕の想像だがね』
おっほん、と電話口でせきこむ。
『矢吹君、月ちゃんのこと待ってたんじゃない?ホラ、まだ暗いし。いつも一緒の僕は、今日会長のてつだいでいなかったし?』
「んなわけ…」
ないだろ。
あの魔王が、そんなこと。
言いかけて、
『帰るよ』
あの矢吹の姿が浮かんだ。
…まってた、のか?
『だって、仕事終わったなら帰ればいいじゃん』
確かに。
