委員会が終わったのは五時半すぎ。

五月とは言えまだ肌寒いし、外もかなり暗い。

「うお~、暗っ!」

なんだかんだ言ってお化けの類はまじで苦手だ。
昔泣き叫ぶ私に、愉快犯で強制的にホラー映画を見せた兄貴が原因だ、確実に。

げた箱は一本しか蛍光灯がついてなくて薄暗い。

とても怖いです。

「や、矢吹~?」

こしが引けてる状態で話しかけてみた。
矢吹が居ることを祈る!

「…遅い」

「うぎゃああああ!」

「なにその色気ない悲鳴」

ぬ、と影から出てきたのは矢吹だった。
驚かすなよ!

「し、仕事は」

「帰るよ」

…へ?
すでに靴を履き替えていた矢吹は、スタスタと先に歩き始める。

え、え?!
急いで靴を履き替え、小走りで後を追う。

「…ふはっ、何そのまぬけな顔。アホな顔がもっとアホになってるよ」

「失礼だなおい!」


外はやっぱり暗かった。

空には半月がうかぶ。
グラウンドは、静かだった。

「仕事は、どうしたんだ?」

「アンタがのろまだからもう終わったよ」

「そ、っか」

じゃあ何で待ってたんだ、とか。

思ったけど、口をつぐんだ。

なんか言っちゃいけなさそうな雰囲気だったから。