「ん~…。じゃ、僕やっりまーす♪」

その時、軽い調子でじんたが手を挙げ、教卓にスキップしながら向かった。

「いいのか?日比谷。お前キョウダイの仕事もあるし―――」

「いいっす、いいっす。別にキョウダイが実行委員やっちゃいけないわけじゃないですよね?誰もいないならやるよ~、大丈夫、ちゃんと両立させるし!」

バチコン、とウィンクをきめて黒板に名前を書いた。

…じんたがやるなら、いっか。

「あー。じゃ、私もやります。じんたがやるんなら私もOKですよね?」

「あっらぁ月ちゃん、僕が恋しくなっちゃったのかな?かなかな?!」

立ち上がる私に、跳ね回りながら勝手に名前を書くじんた。

なーんかいらつくよね、こいつ。
才能があるんだろう、人をむかつかせる。

「じゃあ、この二人に頼もうか。みんな、いいな?」

ちらほらと拍手が上がる。

女子からの目は、やっぱりちょっと痛かった。
じんたも密かに人気だしなぁ。

…忙しくなりそうだなー、こらから。


先を考えながら席につくと、矢吹が猫のような目でこっちを見ていて。

なんとなく冷たくて、怖かった。

「ど、どしたの」

「んーん。日比谷がやるならアンタもやるんだって思って。随分と日比谷が大好きなんだねぇ」

とても言い方が意地悪い。

「…人が居なかったからだろ。仕方ない、し」

「ふうん」

その後はずっとそっぽを向いていた。
なんか怒らせたかなぁ…。


決定して、すぐに六時間目終了のチャイムがなる。
HRが終わったあと、すぐに担任によばれ「このあと実行委員会があるから」といわれた。

「あの、矢吹」

「実行委員デショ。俺も生徒会会議あるから、終わったらげた箱に来て」

「あ、ああ」

一方的に言うと、スタスタと教室から出て行った。

「おやあ、痴話げんかかぁい月ちゃーん」

にやにやと横で笑うじんたを無言で叩いて、私達も歩き始めたけど。


なんか矢吹が冷たいと、こっちも勢いがなくなってしまう気がした。