それから数日。

「ピッーー!!」


体育の先生の笛がなり、私の前の列の女子が走り出す。

今日は一時間目から体育だ。
しかもハードル、さぼれない。

めんどくせー…。


「ピッーーー!」

「うあ!」

急に笛が吹いてびくっと体がはねる。
周りが走り出しているのを見て、慌てて私も走り出した。

めっちゃびびった。

「よっほっ…」

二つ目くらいまではよろけつつもギリ跳べた。

だけど…。

「やっべ!」

タイミングがあわない!

すねにハードルを強打して、そのまま視界がぐるぐる回る。
ついでに体中が痛い。

「ちょっ、大丈夫?!」

こけたのか……と、上から覗き込む女子を見て思った。
右ひざが盛大にすりむかれていて、かなりの出血である。


「あー、大丈夫。保健室行くから、先生に言っといて」

「え、けっこうボロボロだけど」

「心配してくれてありがとー」


後ろ手に手を振り、盛大にすりむいたひざを引きずって校舎へ向かった。