『Red Pupil』は、私がバイトしているカフェだ。

そして、じんたのお兄さん、伸太さんが店長である。

別にお金に困っているわけでもないけど、家に長く居たくないといったら、伸太さんが雇ってくれたんだ。
バイトしてるときは楽しい。

『Red Pupil』にはいろんな客が居る。
お客さんはよく私を捕まえて話し相手にするんだけど、それが面白い。


高校教師の不良との攻防戦日記。

コンビニアルバイトの強盗撃退自慢。

小説家のおすすめの本のマシンガントーク。

カメラマンの死にかけた話とかもあった。


学校で授業をうけるときよりも、きっとこっちのほうが現実味があって勉強になる。

「遅れました、スイマセン」

従業員用の服に着替えて店に出る。
カウンターには、伸太さんが立っていた。

「あら、月花ちゃん。今日もよろしくねぇ」

「はい!」

伸太さんは、いわゆるオネエだ。女装はしないけれど。


じんたと同じダークブラウンのストレートの長髪、高い身長、ちょっと日に焼けた肌。

ピアスとかタトゥーとかいっぱいつけてて、カラコンで目は真っ赤。
かなり怖い見た目の美人だけど、気さくで面倒見のいいお兄さんだ。