下僕お断り!



わき腹に添えられた手と、膝裏を支える手。どちらも矢吹のものだ。

宙に浮かぶ私の体。

…ん?

「っ……!」

矢吹が、私をいわゆるお姫様抱っこで受け止めてくれたのだと、たった今気づいた。

「重い」

そういって私を下ろす矢吹。

急激に顔が熱くなった。

なにこれなにこれ、めっちゃ恥ずかしい…!
脚立から落ちて、受け止められて、ぽけーっと見とれてたとかまぬけすぎて泣けてくる!

「ぐあああ…」

恥ずかしさのあまりうずくまる。

おまっだってアレ初異性抱っこだぜ?!じんたにもされたことないのに!
その感想が「重い」の一言とか…。

「女子としての沽券に関わる…」

あれは思ったよりも恥ずかしい。想像の十倍あたりだ。

「初めてだったの?お姫様抱っこ」

にやにや、とパイプ椅子に再び腰掛けた矢吹が笑う。


とても愉快そうだ。

からかってる、馬鹿にしてるぞこいつ…!