そのとき。
「ブオオオオッ」
強風。
「うぇっ」
ぐらり、と揺れる脚立。斜めになっていく視界。
宙を舞う本。
「え」
何で窓全開なん。あ、あけたの私だわ。空気の入れ替えって窓開けたわ。
っておいいいい!
これ落ちてる系?!死ぬの、私?!
「―――月花っ……!」
矢吹の声。
マジでまずいかも…!
「バサバサッガン、ドスンッ」
…。
……ん?
…衝撃が、ない。
「…ひやひやさせないでくんない、面倒くさいな」
目を開ける。
上に矢吹のきれいな顔があった。
長いまつげと、薄い唇と、白い肌と、吸い込まれそうな真っ黒の瞳。
あー確かに女子が騒ぐのも分かるわ。
すごい、かっこいい。
「?俺にみとれてんの?」
「っ誰が!」
「じゃあおりてよ」
そういわれて今の現状に気づく。
