とある初夏の日。 というより、7月上旬の放課後。 じーわじーわとうるさい蝉が外で愛のコールをする中、私たちは何も変わらず学園生活を過ごしていた。 体育祭の後、ちょっとは距離も縮まった気がする私と矢吹。 まあ、口喧嘩ばっかりだけどさ。 あの日一緒にいた母親らしき人のことについては、一切触れていない。 というか、聞けない。 私なんかが口を挟んではいけない問題だろうしね。