「帰って」 「どうしようかしら」 ツツツ、と女の指が、俺の頬をあおるようになぞった。 ああ、吐き気が。 本当、いなくなってしまえばいいのに。 「ね、愛してるわ」 耳元で響く呪詛の言葉。 やめてくれ、もう――― 「お、ここに居たのか矢吹――……て、あれ?」 のんきな声がした。 「月、花」 思わず呟いてしまった彼女の名前。