矢吹雪人、二年A組生徒会書記。
授業態度は非常に悪く、いつも気だるくやる気なし、大抵寝てる。
そのくせ成績は学年三位、運動神経バツグン、無駄にイケメン。
女性の扱いも上手く、その歳にして経験豊富だとかなんとか。
喧嘩も強いらしく、ふらっと喧嘩をしては不良チーム一つをボコボコにして帰るから、「チーム殺し」との異名も持っている。
ただ、性格がどうも自由勝手の生意気&気まぐれなため、好き嫌いは分かれる。
…以上が、昨日帰り道にじんたから聞いた情報。
ヤツがいかに嫌なやつかと言うことが分かった。
あの後すぐ帰されて、実感のないまま次の日になった。
ネクタイにきらめくあのタイバーが「夢じゃねえぞ」って馬鹿にしてる。
そして、今。
ぎゃあぎゃあと女子の黄色い声がうるせえ正門に、私は立っている。
その視線の先には、
「遅い。下僕が主人を待たせないでよ」
気だるげに正門によりかかる矢吹が居る。
とても偉そうだ。
つか、
「私は下僕じゃねえ!」
「はいはい下僕下僕。ホラ、コレもって」
ぼすん、と矢吹のスクバを投げ渡される。
「だいじょーぶー?月ちゃん」
「おう…。って、お前の荷物なんざ歩くの早!!」
文句言おうとしたら、もう正門には居なかった。
結局二つ分のスクバを持って教室に向かうハメに。
マジでむかつくなアイツ。