ざあざあと春の風が吹き抜ける。
その風に乗って、儚く散った桜の花弁が宙を舞った。


「うっわ、風強いね月ちゃん」

「な。マジでスカートとか邪魔臭い」

「そんなこと言わないでってー。似合ってるんだからさ」


隣に並んで通学していた幼馴染、日比谷仁太がそう言ってくれた。

似合ってる、って言ってくれるのは嬉しいんだが、やっぱり動きづらいじゃん?
だからスカートはキライ。

「まあここの学校、制服はお洒落だしなー」


猫毛が風になびくのを横目に見て、私は欠伸をしながら呟いた。


私とじんたが通う学校は、今日から新学期が始まる。

ちなみに私達は二学年に進級、中だるみと叩かれる時代である。

正門を潜ると、桜のシャワーを浴びながら、沢山の生徒達がそろいもそろって浮き足立っている。



ネクタイカラーを見て一年だと分かる。初々しいなー。


「生徒会の“キョウダイ”、今学期は誰だろうねぇ~♪」

「興味ねえわ」

ついでに言うと、隣のこいつも浮き足立っている。