「なぁ、柚月」


「ん、なーに?」


耳元で、こそっと

──「俺、柚月とキスしたい」



ななななななな!?


「ま、まって!まだ心の準備が…」



こうみえて私たち、1年も付き合ってて
キスしたのはたったの2回だけ。


なにも知らない私に、そっと、触れるだけのキス。


健全な高校生なら、もっと深いキスだって、その先だってきっと…


でも、断固拒否する私に逆らえず。




…だめだ、考えるだけで火照ってくる。


「ゆう、やっぱキスは──…」


「じゃあ、リップクリーム貸して」



…へ?


「リップクリーム?はい」


私の愛用してるニベアのリップクリーム。

あんまりかわいいかわいいしてる物が好きじゃないから、薄い藍色のモノを買った。



すると、


「いただきますよっと!」


そういって。


ゆうはリップクリームを塗ってしまった。


「ゆ、ゆ、ゆぅうう…」


いわゆる、間接キス…。



思わず赤く染まる私の顔を見て、


「いい反応してんじゃん」




そして。




──ちゅっ




「なななっ…!」



「もーらいっ」





雪の積もる公園は、ご用心。